社会人MBAで得られるものは?修了してわかった5つの価値|学歴だけではない学び
「社会人MBAって、本当に意味があるの?」
「高い学費と時間をかけるほどの価値はある?」
「転職や年収アップにつながらなければ意味がないのでは?」
「結局、学位が増えるだけでは?」
社会人MBAを検討していると、一度はこんな疑問を持つのではないでしょうか。
そもそも社会人MBAをどう選べばいいのか迷っている方は、こちらの記事で学校選びの考え方をまとめています。
社会人の働きながらMBA|オンラインと通学どっちがいい?平凡会社員の後悔しない選び方 – Reno Journal – 学びと選択と私。
私自身も、社会人としてMBAに通い始める前は、MBAで得られるものをかなりわかりやすい形で捉えていました。
経営について体系的に学べること。
MBAという学位が得られること。
もしかしたら、その先のキャリアの選択肢が広がること。
もちろん、それらもMBAで得られるものの一つです👍
ただ、実際に通い、修了して振り返ってみると、私にとってもっとも大きかったのは、「経営知識が増えたこと」ではありませんでした。
物事を見る視点が増えたこと。
正解を探す前に、問いそのものを考えるようになったこと。
そして、自分は何を大切にして、これから何を選んでいきたいのかを考える基準が少しずつできたこと。
これらは、資格欄に書けるようなものではありません。
けれど、AIによって知識そのものへのアクセスが容易になっている今だからこそ、私はこうした力を身につけるきっかけを得られたことに、大きな価値を感じています。
この記事では、社会人MBAを修了した私が感じた「学歴以外に得られたもの」について、実体験をもとに考えてみます👩💻
社会人MBAで得られるものは「学位」だけではない
MBAで得られるものとして、一般的によく挙げられるのは次のようなものです。
- 経営に関する体系的な知識
- MBAという学位
- 人脈
- キャリアの選択肢
- 転職や昇進への影響
どれも間違いではありません。
実際、会計、ファイナンス、マーケティング、経営戦略、組織行動などを体系的に学べることは、MBAの大きな特徴です。
また、普段の仕事だけでは出会わない業界や職種の人たちと一緒に学ぶことも、大きな刺激になります。
ただ、私は実際に通学してみて、MBAの価値はそれだけではないと感じました。
むしろ、講義が終わったあとにも残っているのは、知識そのものよりも「考え方の変化」です。
ここからは、私が実際に感じた変化を一つずつ振り返ってみます🐥🐥
1.経営を「点」ではなく「全体」で見るようになった
会社員として働いていると、どうしても自分の担当領域から会社を見ることが多くなります。
営業なら営業。
法務なら法務。
品質管理なら品質管理。
人事なら人事。
もちろん、それぞれの専門性はとても重要です。
一方で、一つの部署に長くいるほど、「会社全体としてなぜこの意思決定をしているのか」という視点は持ちにくくなります。
MBAでは、会計、ファイナンス、マーケティング、経営戦略、組織行動などを横断して学びます。
MBAは、特定分野の専門家を育成するためだけの場所ではありません。
むしろ、複数の分野を行き来しながら、企業や経営を全体として考えるための基礎を身につける場所なのだと思います。
たとえば、
「なぜこの企業は、この戦略を選んでいるのか」
「売上が伸びているのに、なぜ企業価値は上がらないのか」
「この施策は財務だけでなく、組織やブランドにどのような影響を与えるのか」
「企業価値において、無形資産はどのような意味を持つのか」
こうした問いを、いくつもの角度から考えるようになります。
もちろん、MBAを修了したからといって、突然すべての経営課題を理解できるようになるわけではありません。
私自身も、学んだことの多くはまだ入口にすぎないと思っています。
それでも、「一つの数字」や「一つの施策」だけを見るのではなく、その背景にある戦略や組織、財務、市場までつなげて考えようとする癖がついたことは、大きな変化でした。
知識が増えたというよりも、知識と知識の間に線を引けるようになった。
私はその感覚に近いと思っています。
2.「答え」よりも「問い」を考える癖がついた
MBAで得たものの中で、私が特に大きいと感じているのが、「問いを立てる」という感覚です。
資格試験では、多くの場合、正解があります。
知識を覚え、問題を解き、正しい答えにたどり着く。
私自身、資格学習をしてきたので、この学び方には慣れていました。
しかし、MBAの講義やケース討議では、必ずしも一つの正解があるわけではありません。
「なぜそう考えたのか」
「本当にそうなのか」
「別の選択肢はないのか」
「それは誰の立場から見た答えなのか」
「その前提は本当に正しいのか」
こうした問いを、何度も投げかけられます。
最初は、明確な正解がないことに戸惑うこともありました。
けれど、次第に「正しい答えを早く出すこと」より、「そもそも何を問うべきなのか」を考えることの方が重要なのではないかと思うようになりました。
これは、仕事だけに限りません。
キャリアでも、人生でも同じです。
「転職すべきか」
「資格を取るべきか」
「今の会社に残るべきか」
私たちはつい、正解を探してしまいます。
でも、その前に、
「私はなぜ転職したいのか」
「その資格を使って何をしたいのか」
「そもそも自分は、どんな状態を望んでいるのか」
と問い直す必要があります。
MBAで学んだのは、正解の数を増やすことではなく、問いの解像度を上げることだったのかもしれません。
3.自分とは違う「見方」に触れることができた
社会人MBAには、さまざまなバックグラウンドを持った人が集まります。
業界も違えば、職種も違う。
年齢も、これまで歩いてきたキャリアも、仕事に対する価値観も違います。
同じケースを読んでも、出てくる意見は驚くほど違います。
自分では当然だと思っていたことを、別の人はまったく違う角度から見ている。
逆に、自分では思いつかなかった視点を、誰かが当たり前のように提示する。
そうした経験を重ねていくと、自分の中にある「前提」に気づくようになります。
これは、単に「人脈が増えた」という言葉では、少し足りない気がします。
もちろん、人とのつながりも大切です。
でも私にとっては、異なる人たちと学ぶことで、自分自身の考え方の癖を知ることができたという意味の方が大きかったように思います。
会社の中だけにいると、その会社の常識が社会の常識のように感じてしまうことがあります。
MBAという少し違う場所に身を置いたことで、自分が知らない世界や考え方が想像以上にたくさんあることを実感しました。
4.自分のキャリアを、一度「外側」から見る時間ができた
働いていると、毎日は驚くほど速く過ぎていきます。
目の前の仕事をこなし、次の会議を準備し、次の評価や異動について考える。
そうしているうちに、「次に何をするか」ばかりを考えるようになります。
でも、本当はその前に、
「自分はこれまで何をしてきたのか」
「何に強みがあるのか」
「何に違和感を感じてきたのか」
「これから何を大切にしたいのか」
を考える必要があるのかもしれません。
MBAに通ったことで、私は自分のキャリアについて考える時間が増えました。
授業で企業を分析しながら、自分自身について考える。
他の受講生のキャリアを聞きながら、自分の選択を振り返る。
新しい知識に触れながら、「私はこの分野に興味があるんだ」と初めて気づく。
MBAは、キャリアを前へ進めるための場所であると同時に、一度立ち止まり、自分を外側から見る場所でもあったように思います。
立ち止まることは、キャリアが止まることではありません。
むしろ、自分がどこへ向かおうとしているのかを確認する時間でもあります。
5.「学ぶこと」と「使うこと」は別だとわかった
MBAに入れば、キャリアが自動的に好転する。
そんなことはありません。
MBAを修了したからといって、必ず転職できるわけでも、年収が上がるわけでもありません。
経営者になれるわけでもありません。
私の周囲を見ても、修了後の進路はさまざまでした。
以前と同じ職場に戻った人。
転職し、それまでとはまったく違う仕事を選んだ人。
やりがいを優先し、結果として年収が下がった人。
コンサルティング業界など、新しいキャリアを目指した人。
進む方向は、一人ひとり違います。
少なくとも私の周りでは、「MBAさえ取れば、自動的にキャリアアップできた」という人はほとんどいませんでした。
むしろ、MBAという経験を自分の人生の中でどう位置づけるかを、それぞれが考えていたように思います。
これは資格にも共通します。
知識は、持っているだけでは価値になりません。
学んだことを仕事にどう使うのか。
意思決定にどう使うのか。
そして、自分自身の選択にどう使うのか。
そこまで考えて、初めて学びが自分のものになる。
以前このブログでも、「資格は取るより資産にする」という考えを書きました。
MBAも同じです。
学位を取ることがゴールなのではなく、その後に何を考え、何を選び、どう使うのか。
本当の価値は、修了後から始まるのかもしれません。
社会人MBAに行けば、誰でも同じものを得られるわけではない
ここまで社会人MBAで得られたものを書いてきましたが、MBAに行けば誰でも同じ経験ができるとは思っていません。
目的を持たずに入学すると、授業をこなすだけで終わってしまうこともあります。
学位取得だけを目的にすると、思ったより得るものが少なかったと感じるかもしれません。
また、仕事と家庭と学業を両立する負担も決して小さくありません。
私自身が感じた仕事とMBAの両立の大変さや、続けるために工夫したことについては、別の記事で詳しくまとめています。
学費も決して安くありません。
だからこそ、MBAそのものが人生を変えてくれるわけではないと思います。
MBAは、自分の人生の行く先を照らしてくれるナビゲーションでもありません。
「こちらに進めば正解です」と教えてくれる場所でもない。
むしろ、自分で考えるための材料を増やしてくれる場所なのだと思います。
何を学びたいのか。
なぜ今、MBAなのか。
何を自分のものにしたいのか。
キャリアについて考えても答えが出ないときは、「やりたいこと」を無理に探さなくてもいいのではないか、ということも以前の記事で書きました。
キャリアがわからない30・40代へ|やりたいことがないまま働く不安のほどき方 – Reno Journal – 学びと選択と私。
そうした問いを持ちながら学ぶことで、同じ授業を受けても、持ち帰れるものは変わるのではないでしょうか。
これから社会人MBAを考えている人へ
社会人MBAに行くべきか、行かないべきか。
私は、簡単にどちらかを勧めることはできません。
人によって置かれている環境も、目的も、使える時間もお金も違うからです。
ただ、もし今MBAに行くか迷っているなら、一度考えてみてほしいことがあります。
「MBAを取ったら、何者になれるだろう」
ではなく、
「私は、これからどうありたいのだろう」
という問いです。
今の仕事で、もっと知りたいことは何か。
なぜ視野を広げたいと思っているのか。
今の自分に、何が足りないと感じているのか。
修了したあと、その学びを何に使いたいのか。
少し先の自分を想像してみてください。
肩書きや年収だけではなく、「どんな考え方を持つ人でいたいか」というところまで考えてみる。
その答えの中に、MBAに行く意味があるかどうかのヒントがあるかもしれません。
まとめ|社会人MBAで得たのは「答え」よりも「考え方」だった
社会人MBAで得たものは、経営知識や学位だけではありませんでした🙂
企業を複数の視点から見る力。
問いを立てる力。
自分とは違う考え方に触れる経験。
そして、自分自身のキャリアや選択について考える基準。
振り返ってみると、私はMBAで「答え」を得たというよりも、「考え方」を得たのだと思います。
もちろん、
「そんなもののために、高い学費と時間を使ったの?」
と思う人もいるかもしれません。
その価値の感じ方は、人によって違います。
けれど私にとっては、自分が好奇心を持てる分野を知ることができたこと。
これまで知らなかった考え方に出会えたこと。
そして、自分が過去に考えてきたことや選んできたことについて、「すべて間違っていたわけではなかった」と思える瞬間が増えたこと。
それだけでも、意味のある時間だったと感じています。
MBAに行けば、人生の正解がわかるわけではありません。
でも、自分で考え、自分で選ぶための視点は増やせる。
社会人MBAで得られる「学歴以外の価値」とは、もしかすると、そのことなのかもしれません🫡


