30代でやりたいことがわからないなら|「やりたいこと探し」をやめてみる
「転職したい気持ちはある。でも、何をしたいのかと聞かれると答えられない」
「やりたいことを見つけようと言われるほど、焦ってしまう」
「社会人になって何年も経つのに、まだ自分のやりたいことがわからない」
「周りはキャリアの方向が決まっているように見える」
30代になると、こんな悩みを持つ人も多いのではないでしょうか。
私自身、20代から30代にかけて、キャリアについて何度も悩みました。
会社員だった頃の私は、どこかで、
「キャリアは自分でコントロールしなければならない」
と思っていました。
周囲の人のキャリアには興味がありました。
「どうしてその仕事を選んだの?」
「次は何を目指しているの?」
そんな話はいくらでも聞ける。
でも、いざ自分が、
「何がしたい?」
「これからどうなりたい?」
と聞かれると、うまく答えられませんでした。
自分の人生を生きているはずなのに、どこか自分で選んでいないような感覚もありました。
今なら、少し違う考え方ができます。
やりたいことがわからないなら、「わからない」が今の答えでもいい。
無理に「やりたいこと」を探さなくてもいいのだと思います。
むしろ、
何に違和感を持つのか。
何が苦手なのか。
何なら続けられるのか。
どんな状態なら心地よくいられるのか。
そして、自分は何を大切にしたいのか。
そうした小さな感覚を知ろうとすることの方が、自分の方向を見つける手がかりになるのではないでしょうか。
この記事では、「やりたいことがない=ダメ」という前提から少し離れて、自分なりのキャリアの見つけ方について考えてみます。
キャリアそのものがわからなくなっている方は、『キャリアがわからない30代へ|やりたいことがないまま働く不安のほどき方』でも、迷いを整理する考え方をまとめています👇
キャリアがわからない30・40代へ|やりたいことがないまま働く不安のほどき方 – Reno Journal – 学びと選択と私。
30代で「やりたいことがわからない」のは、全然おかしくない
20代は、目の前の仕事についていくだけで精一杯だったという人も多いと思います。
仕事を覚える。
人間関係をつくる。
評価されるように頑張る。
転職するかどうかを考える。
気づけば数年が過ぎている。
そして30代になり、ある程度仕事ができるようになった頃に、
「このままでいいのだろうか」
という疑問が出てきます。
でも、「今のままは違う」と気づいたからといって、すぐに次のやりたいことが見つかるわけではありません。
むしろ、
「やりたいことがない」のではなく、今まで自分の選択肢について考える余白がなかっただけ
なのかもしれません。
さらに今は、選択肢そのものも多い時代です。
転職。
副業。
フリーランス。
資格取得。
大学院。
起業。
リスキリング。
SNSを見れば、他人のキャリアはいくらでも目に入ってきます。
選択肢が多いことは、本来なら自由なはずです。
でも、ときにはその多さが選びにくさにつながることもあります。
有名な研究に、Sheena IyengarとMark Lepperが行った「ジャムの実験」があります。
店頭に24種類のジャムを並べた場合と6種類を並べた場合を比較したところ、多くの人は種類の多い売り場に引き寄せられた一方、実際の購入には種類の少ない方がつながりやすかったという結果が報告されています。
もちろん、「選択肢が多ければ必ず選べなくなる」という単純な話ではありません。
その後の研究では、選択の難しさや選択肢の複雑さ、本人がどれだけ自分の好みを理解しているかなどによっても結果が変わるとされています。
でも、キャリアについて考えるときにも似たことはあるのではないでしょうか。
「失敗したくない」
「遠回りしたくない」
「もっといい選択肢があるかもしれない」
「周りからどう思われるだろう」
そう考えるほど、選べなくなっていく。
だから、30代で迷っていること自体を、
「自分だけが遅れている」
と考えなくてもいいと思います。
「やりたいこと探し」が苦しくなる理由
「やりたいことを見つけたい」
そう思うこと自体は、悪いことではありません。
でも、「やりたいこと」という言葉には、知らないうちにたくさんの条件がくっついてきます。
たとえば、
- 一生続けられるもの
- 収入につながるもの
- 他人から評価されるもの
- 得意なもの
- キャリアになるもの
- 将来性があるもの
です。
そして、できれば全部満たしたい。
そうなると、やりたいことを探しているはずなのに、いつの間にか、
「正解のキャリアを探す作業」
になってしまいます。
さらに苦しくなるのが、
「やりたいこと=職業名」
にしようとすることです。
「マーケティングがしたい」
「コンサルになりたい」
「起業したい」
「人事になりたい」
もちろん、それが本当に自分のやりたいことであれば問題ありません。
でも、職業名や肩書きが先に来ると、
「なんとなく格好いい」
「市場価値がありそう」
「人に説明しやすい」
という、“それっぽい答え”を選びやすくなります。
私も以前は、「何になりたいのか」をずっと考えていました。
でも今は、
「やりたい仕事」を探す前に、「どういう状態でいたいのか」を考える方が大切なのではないか
と思っています。
1.「やりたいこと」ではなく「嫌だったこと」を見る
「好きなことは何ですか?」
と聞かれると、意外と答えるのが難しいものです。
でも、
「何が嫌でしたか?」
なら、思い出せることがあります。
これまでの仕事を振り返ってみてください。
何がつらかったのか。
何に違和感を持ったのか。
どんな働き方がしんどかったのか。
どんな環境では自分らしくいられなかったのか。
「嫌だったこと」は、単なる不満ではありません。
その裏側には、自分が大切にしている価値観が隠れていることがあります。
たとえば、
「競争する環境がしんどかった」
のであれば、
協働できる環境や心理的安全性を大切にしているのかもしれません。
「仕事に意味を感じられなかった」
のであれば、
自分の仕事が誰かや社会につながっている実感を大切にしているのかもしれません。
「職場の人間関係に悩んだ」
のであれば、
個人が尊重される環境でこそ、自分らしく働けるのかもしれません。
やりたいことがわからないとき、
嫌だったことから逆算する。
これも、自分を知る一つの方法です。
2.「できること」より「続けられること」を見る
「得意な仕事が向いている仕事」
とは限りません。
人よりうまくできる。
評価もされる。
でも、終わるとものすごく疲れている。
そんな仕事もあります。
反対に、
特別得意だとは思っていないけれど、
なぜか苦ではない。
気づけば続けている。
人は気にしていないのに、自分だけ気になって改善してしまう。
もう少し上手くなりたいと思う。
そういうものもあります。
私は、「好きなこと」だけでなく、
制約があっても続けられること
にも目を向けてみるといいと思います。
「大好き」ではなくてもいい。
「これなら嫌いにならずに続けられそう」
くらいでも十分です。
キャリアは、瞬間的な情熱だけでつくるものではありません。
長く付き合えるかどうかも、大切な相性の一つです。
資格や学びも、取ること自体より、その後どう使うかで価値が変わります。『資格は取るより資産にする』では、その考え方をもう少し具体的にまとめています👇
資格は取るより資産にする|社会人の学び直しを人生に残す3つの考え方 – Reno Journal – 学びと選択と私。
3.「何になりたいか」より「どうありたいか」を考える
私は、ここが一番大切だと思っています。
「何になりたいか」は、肩書きの話です。
でも、「どうありたいか」は少し違います。
たとえば、
どんな働き方をしたいのか。
どんな人と働きたいのか。
どんな時間の使い方をしたいのか。
どんな気持ちで一日を終えたいのか。
そして、
何を大切にしている自分でいたいのか。
職種や会社は変わります。
肩書きも変わります。
でも、自分が心地よくいられる条件や、大切にしたい価値観は、比較的長く残ります。
だからキャリアを決める前に、
「自分が心地よくいられる条件」
を言葉にしてみる。
それだけでも、選択の基準は少しずつできます。
4.「小さく試す」ことで、やりたいことは後から見えてくる
やりたいことは、考えているだけではわからないこともあります。
だからこそ、小さく試す。
本を読む。
講座を受ける。
資格の勉強を少し始めてみる。
副業を試す。
ボランティアに参加する。
ブログを書く。
興味のある人に会ってみる。
イベントに1日参加してみる。
大きな決断でなくて構いません。
重要なのは、
「これが私の天職なのか?」
と判断しようとしないことです。
代わりに、
「実際にやってみて、私はどう感じたか?」
を見る。
楽しかったのか。
もっと知りたいと思ったのか。
思ったより疲れたのか。
もう一度やりたいと思ったのか。
その小さな感覚を集めていく。
やりたいことは、最初から完成した形で見つかるというより、
試したあとに輪郭が見えてくるもの
なのかもしれません。
学び直しを始めても『何も変わっていない気がする』と感じることがあります。そんな停滞感については、『勉強しているのに何も変わらない|社会人が停滞感を感じる理由』でも書いています👇
社会人の勉強|努力しているのに何も変わらない?焦りと停滞感の理由 – Reno Journal – 学びと選択と私。
5.「向いているか」より「自分が納得できるか」を見る
キャリアについて考えていると、周囲からいろいろな言葉をもらいます。
「向いていると思う」
「それを辞めるのはもったいない」
「安定しているのに」
「その仕事ならキャリアになるよ」
善意で言ってくれている場合も多いでしょう。
でも、他人が「向いている」と言う仕事でも、自分が納得できなければ、続けるほど苦しくなることがあります。
反対に、世間から見れば遠回りに見えても、自分が納得している選択もあります。
キャリアには、一つの正解がありません。
だからこそ、
他人の評価より先に、自分の基準を持つ必要がある。
私はそう思います。
やりたいことがわからないときに書き出したい5つの質問
ここまで書いたことを、少し具体的にしてみます。
私自身も、キャリアに迷ったときに似たことを考えてきました。
1.最近、「これは嫌だ」と強く感じたことは?
私の場合、
実質を伴わない数字をつくること。
過度な競争。
職種だけで人を上下に見るような空気。
そうしたものに強い違和感を持っていました。
嫌だった経験は、自分が何を大切にしたいのかを教えてくれます。
2.どんなときに時間を忘れる?
私の場合、
既存のものをそのまま踏襲するだけでなく、
「もう少しよくできないか」
と改善案を考えたり、新しい企画をつくったりするとき。
そして、文章や資料などのコンテンツをつくっているときです。
時間を忘れる瞬間には、自分の関心が表れます。
3.どんな仕事なら、多少大変でも続けられそう?
私の場合は、
自分の仕事が企業価値につながっている。
誰かの役に立っている。
そんな実感を持てることです。
楽な仕事を探すというより、
「大変でも納得できる仕事は何か」
と考えた方が、自分の基準が見つかることがあります。
4.どんな環境なら、自分らしくいられる?
私の場合、
個人を尊重し合える職場。
人格的に信頼できる上司。
安心して意見を言える同僚。
そんな環境です。
仕事内容だけでなく、
「誰と、どんな空気の中で働くのか」
もキャリアの大切な条件です。
5.5年後、「こうなっていたら嫌だ」と思う状態は?
これは、私にとってかなり重要な問いでした。
役職だけにしがみつき、上の顔色ばかりをうかがう人にはなりたくない。
自分の成果には敏感なのに、責任が生じると逃げる人にもなりたくない。
弱い立場の人には強く出て、部下や同僚のやりがいや成果を搾取するような人にもなりたくない。
もし自分が人を率いる立場になるのであれば、
同僚にも部下にもできるだけ公正に接し、透明性のあるマネジメントをしたい。
私はそう考えていました。
「なりたい自分」は書けなくても、
「こうはなりたくない」
なら書ける人は多いのではないでしょうか。
そこから逆算することで、自分が大切にしたいものが見えてきます。
それでも、すぐに答えが出なくていい
ここまで偉そうに書いていますが、私自身も最初から自分の基準を持っていたわけではありません。
新卒の就職活動では、
「社会的に評価されている企業」
を選ぼうとしていました。
大企業。
安定。
優良企業。
そんな会社から内定をもらい、父に褒めてもらったときは、とても嬉しかったことを覚えています。
仕事内容は二の次でした。
まさか自分が営業をすることになるとも思っていませんでした。
そして、「何か違う」と感じながらも、5年以上続けました。
2社目を選んだときは、その反動もありました。
現場で競争する仕事ではなく、
現場を支えたり、政策や仕組みを落とし込んだりする側に行きたい。
そんな理由で仕事を選びました。
振り返れば、きれいな一本線ではありません。
迷った。
変えた。
戻った。
また考えた。
そんな繰り返しです。
でも今は、それでいいと思っています。
一度決めたキャリアを貫くことも、もちろん素晴らしいことです。
ただ、
途中で違うと思ったなら、微修正してもいい。
何度も修正して、線がぐにゃぐにゃに歪んでいるように見えてもいい。
そのときどきで、
「こちらの方が自分に近い」
と感じる方向へ少しずつ進んでいるなら、
大きく見れば、その線は意外と一本につながっているのかもしれません。
まとめ|「やりたいこと」より、自分の感覚を信じる
30代でやりたいことがわからなくても、焦って答えを出す必要はありません。
「何をしたいか」がわからないなら、
まず、
何が嫌だったのか。
何なら続けられるのか。
どんな状態なら心地よいのか。
どういう自分でありたいのか。
そこから考えてみる。
そして、少し気になることがあれば、小さく試してみる。
そのときに感じたことを、また拾う。
そうやって少しずつ自分の感覚を知っていけばいいのだと思います。
やりたいことは、最初からどこかに完成形で存在していて、それを見つけなければならないものではないのかもしれません。
選んで。
試して。
違ったら修正する。
その繰り返しの中で、
あとから振り返ったときに、
「ああ、私はこういうことを大切にしていたんだ」
と気づく。
それでも十分です。
「やりたいことがわからない」
という状態も、自分を知っていく途中なのだと思います✨


