
なぜ簿記2級を受験しようと思ったのか ― コロナ禍での学び直し
時間を有効に使えていないのではないかという焦燥感
2021年、コロナ禍の真っただ中。多くの企業がリモートワークを徹底していた時期、私の働き方も大きく変化しました。通勤時間はゼロになり、上司や同僚と顔を合わせる機会も激減。会議もほとんどがオンラインで完結し、人との交流が圧倒的に少なくなりました。気づけば、毎日が同じように過ぎていき、時間を有効に使えていないのではないかという焦燥感を抱くようになっていました。
そんなとき「せっかくなら、この時間を自分の成長につながるものに投資したい!」と思い立ちました。漠然と過ごすのではなく、何かに挑戦して成果を得たい。その候補として最初に浮かんだのが”日商簿記2級”でした。
日商簿記2級への挑戦を決意
私はもともと簿記3級を取得していました。3級も「取っておくか~」という軽い気持ちで、何かに活かしたい!という思いからではなかったことを、はっきりと覚えています。笑
当時から「簿記2級は難易度が一気に上がり、実務レベルで役立つ」と耳にしていました。会計の素養もない自分にとってはハードルが高い試験。だからこそ、時間がある今だから挑戦すべきだと考えたのです。簡単に合格できる試験よりも、独学でも自分に少しプレッシャーを掛けるような資格の方が、長期的には糧になるはず。
コロナ禍で得た「時間」という資源を無駄にしないために、簿記2級への挑戦を決意しました。
「簿記と英語は社会人の基礎」
また、決断の背景には、前職でお世話になった方の言葉も強く影響しています。その方は部門の本部長を務め上げて定年退職された後も、再雇用として精力的に働き続けていました。
「わしら社会人は、簿記と英語が基礎だからね。きちんとやっておけば食いっぱぐれることはないで!それに、これからは情報やデータの重要性がもっと高まるはずや」
当時はそこまで気にも留めなかった言葉でしたが、(とても失礼…💦)リモートワークで自分の将来を考える時間が増えたことで、その言葉が後押しになった気がします。「簿記と英語は社会人の基礎」――これは決して古い考えではなく、むしろ今の時代だからこそ普遍的な真理だと感じるようになったのです。
3級取得後の違和感
正直に言うと、簿記3級を学んだときには「基礎の基礎」という印象が強く、どこか物足りなさを感じていました。仕訳のルールや基本的な財務諸表の読み方を学べるのは良いものの、「これが実際のビジネスの現場でどこまで役に立つのか?」と疑問を持ったのです。逆に簿記2級を学べば、より実践的な内容に踏み込み、管理会計や原価計算といった領域まで広がります。そこにはきっと、新しい視点や知識の広がりがあるに違いない。自分のキャリアを長い目で考えると、3級で止めておくよりも、2級を取得した方が確実に得られるものが多いと判断しました。
もちろん当時の私は不安もありました。特に工業簿記の分野は未知の世界で、「数字が苦手な自分に本当にできるのか」と心配になることもありました。それでも「今だからこそやる価値がある」と強く思えたのは、コロナ禍という特殊な状況の中で時間の使い方を見直した経験、そしてお世話になった方の言葉が背中を押してくれたからです。
簿記2級を受験すると決めたとき、私は単に資格が欲しかったというよりは、「自分の基礎をもう一度鍛え直す」という思いがありました。社会人に必要な知識やスキルはアップデートされていきますが、その土台となる会計リテラシーを固めておくことは、自分への投資だと思ったのです。
合格に向けた挑戦
今振り返ると、この決断は大きな意味を持っていました。学習を進める中で確かに苦労も多かったのですが、それ以上に「自分は学び直すことができる」という自信を得られたからです。そして、この経験がその後のMBA進学や英語学習、さらにはキャリア選択にもつながっていくのだと思います。
簿記2級を目指した当時の背景を振り返ると、そこには「時間をどう使うか」という問いが常にありました。コロナ禍で日常が制限されたからこそ見つけられた学び直しの機会。あのとき思い切って挑戦した自分に、今では心から感謝しています。